茶碗蒸しに罪はなし。
Junko です。
先日、流捨に来られたお客様のお話です。
「右の首と腕が張っていて固まってる感じですが、どうですか?」
「えー、わかります?」
お客様がこられる前に、ゲストシートをチェックするのですが右の首と肩は1度も書いていません。
「こんをつめて、なにかされました?」
「いーえ、思い当たりません、でも確かに痛いんです」
「痛いんですか?」
「はい」
「最近身体を固くなるぐらいすごいビックリしたことありました?」
「いーえ」
「何か固いものを食べました?」
「いーえ、歯が悪いので最近は固いもの食べられませんから、柔らかいものが好きです」
と言ったあと、突然身体を半分起こして私の顔を見て。
「思い出した。茶碗蒸しです」
めちゃくちゃ真顔です。
「茶碗蒸し?」
「犯人は茶碗蒸しです」
「はぁ?」再び仰向けになられたお客様のお身体を揺らしていきます。
「フフフフフ」
笑っておられます。
「こないだ、茶碗蒸しが食べたくなって、作るのは面倒だし、かといってスーパーのはイマイチで、思い出したのよ。孫と行った回転寿司。でもお婆さん一人で行くのもなんだか気後れするし、でも、お寿司も二皿ぐらいしか食べなくても変に思われへんし、そう言えばカウンターに一人客がいてたようにも思う。でも、雨の夜にお婆さんがフラフラ行くのもカッコ悪いし」
でもの多さがなんか乙女心よねーと思いながら、茶碗蒸しの具でも喉につめられたのかと耳を傾けました。
「その夜は寝て、どうしても食べたかったらお昼に行こう。それなら変に思われへんし朝になったら食べたくなくなってるかもしれへんし」
「で?」
「茶碗蒸しと言って起きたわ」
年上ながら可愛い方です。
「いざ、行ったのよ。まずはお寿司を頼んでと思って、そうそうタッチパネル孫が喜んでやってたのを真似して、めがねメガネ。よう、わからん。こんなところでモタモタしてるとカッコ悪いし中腰になってサーモンの一貫なら軽いからいいわとタッチパネルを押すんだけど反応せーへん。もぅ何回も何回も押すけど反応せーへんやっとできたら注文しますか?ってなって又注文を押すけど反応せーへん。パッと食べてちゃっと帰ろうと思ってるのに、力いっぱい指で押す」
あー、腕の張りはここから。かなりの力だったのが想像できます。
なんか、腕が指がいとおしくて思わず人差し指を撫でておりました。
「手に湿り気がないのかとおしぼりを触ったり、手が冷たいのかとお茶をグッと握ったり。もぅ、茶碗蒸しどころの騒ぎじゃなくて、押して押して押しまくったわ。多分6人家族ぐらい分押したわ。あっ、先生親指もお願い。人差し指が痛なって親指も活躍したから」
「はい、させていただきます。で、茶碗蒸しにたどり着いたんですか?」
「美味しかったよー」
「オメデトウゴザイマス」
「一貫のを四皿と茶碗蒸しなら店もよしとしてくれるやろ。と満足してお会計ボタン押したら、ニコニコ顔のお嬢さんが札をくれて『自動会計となっております』って渡されて、えー地獄」
落語のような話です。
スシローさん色々、工夫され感心することばかりですが、年配者の指に反応するタッチパネルをお願いします。
スシローさんだけでなく、他のタッチパネルも何とかしてほしいです。
これから、お一人のお年寄りも多くなります。
タッチパネルが見上げる感じは背筋伸びていいですが、長時間のアゴをあげるのはやっぱり首に負担です。
茶碗蒸し美味しいと言われるお客様はいいお客様だと思います。
お客様は右首、肩、腕、指伸びられました。
「又、茶碗蒸し食べに行ったら早めに流捨予約します」
と帰って行かれました。
そんなに美味しいのか、私も茶碗蒸し一人挑戦しようかぁ。と思わず独り言言いました。
お寿司とは関係ないですが、マスク姿が可愛かったので。