年賀状
今年もたくさんの年賀状を頂きありがとうございました。
年賀状に元気です。とあるとホッとすることがあります。
私はフィットネスインストラクターをして30年以上たちます。
その中に90代になられる方もいらしゃいます。
15年ほど前にその方から相談がありました。
「お正月になるとどうしても便秘になるんですがよい方法はないでしょうか?」
「オリーブオイルがいいかと思うのですが試してみてください」
70代になるとお肉を食べる方が少なくなる時代でした。
今のように肉を食べて元気にとは言われておりませんでしたので、どうしても脂気が少なく便秘になる方が多かったのです。
お正月に年賀状が届きました。
丁寧な文面の最後に。
「先生、年末にご相談したことで気になることがありまして、お手透きで結構ですのでお電話いただけますか」
自分が出した年賀状が恥ずかしくなるほどの達筆で書かれています。
昔、高校の古典の先生らしい文面です。
私なら、便秘のことでとかいてると思います。
メールという手段もあるでしょうが、多分書きにくい内容かと考えました。
下痢が止まらなくて、痔になってたらどうしようとか思って慌てて電話しました。
(読んでるみなさん、尾籠な話ですが4日ですから許してください。)
お正月のご挨拶もせず。
「どうされました?」
「先生、明けましておめでとうございます。旧年中は大変おせわになりありがとうございました。今年もよろしくお願いします」
「下痢になられましたか?」
(焦っていて本当に恥ずかしい私です)
小さな声でクスッと笑われて。
「あのね先生、どうしても下着が少々ね」
「下痢ですか?」
「イエイエ」
「えー❗血ですか?」
「いーえ、私の塗り方がまずいのかホホホ」
「………」
やってしまいました。私のミスです。
全身から、毛穴という毛穴から汗が吹き出てきます。
元、高校の先生で達筆で上品で、ゆっくりだけどしっかりしゃべられるお客様です。
何て言う?落ち着け私。
塗るんじゃなくて飲むんです。
あかん。よう、言わん。
がんばれー私。
「すみません。私の伝え方がまずくて、ほんの少々綿棒が湿るかどうかぐらいですが、もし、もし、(メチャ力はいります)全然、効果がないのであれば、スプーン大さじ一杯サラダにかけるとかパンにぬ塗って試していただけませんか?」
「えっ、食べるんですか?そのままですか?」
「炒めるのに使うのではなくそのままです」
しばらく、間があってから。
「その方が手軽なんで試してみます」
少し、雑談をして電話を切りました。
全身脱力感です。
その頃は、オリーブオイルはまだパスタに使うものだったとおもいます。
油をそのまま食することはなく、トレーニングをしている方とか美容オタクか健康オタクしか広まっておりませんでした。
医師の日野原先生が広く広められたと思います。
私はインストラクター仲間に栄養士さんがいたこともありましたし、ダイエットも指導しておりましたので、食が当たり前と思い込んでおりました。
多分、赤ちゃんが便秘したらベビーオイルをつけた綿棒でお尻を刺激するというのが、定番であったので、そう思われたのだと思います。
私のミスです。
今でもいい教訓になっています。(そのわりには言葉足らず、思い込み多々ありますが)
お独り暮らしだったその方は10年ほど前に娘さん夫婦と同居されることになり関東に引っ越されました。
会わなくなってからの年賀状に。
長年言いそびれていましたが、先生、私に恥をかかせないようご配慮いただいたことは忘れません。
ばれてました。恥ずかしい。
今年の賀状に、90を過ぎて外出がむつかしくなってきました。
先生のそばにいてたらもぅちょっと元気でいれたかなぁと思います。
意味なく窓の外の青空を見上げました。